図−3 「よこすか」装備のマルチナロービーム(指向性をもたせた複数の片波ビームによる測深)による海底地形データから描かれた、18°S付近の鯨瞰図(海底地形を立体的に描いた図)です
図−4 「しんかい6500」による潜航地点は航海にとって呼びやすいようにBOXごとにRM24などの番号が付いています。RMとはリッジフラックスのRとメルビル号のMのことで、メルビル号による前年の事前調査の祭、熱水プルームが発見された地点で採水や岩石採取を行い、通し番号をつけました。その後の分析の結果から、代表的あるいは沽動的な場所において潜航が行われました
(1)第3レグの結果
1)プルームの直下で高温と低温の熱水沽動を発見
プルームの直下の潜航の結果、プルームの直下に優勢な熱水沽動が発見され、前年度の事前調査、の結果が裏打ちされました。潜航は4か所の地一点で行われ、ブラックスモー力ーで代表される高温の熱水活動(2か所:RM28,RM29)と、低温の広範な熱水活動(1か所:RM23)が発見されました。プルームの化学組成は、その起源が高温のブラックスモーカーであるか、広範な低温の湧水であるかによって明瞭に区別されることが明らかになりました。つまり、硫黄に富むプルームは低温熱水一起源であり、鉄に富むそれは高温熱水起源であるということです。また非常に特徴的なこととして、低温のサイトにはエビ、カニ、ヒバリガイ、イソギンチャクなどの生物が密集しているのに対し、高温のサイトにはきわめて限られた生物しか観察されませんでした。
2)通常の海嶺より10倍以上大きいフラックスの放出量
高温熱水は地下で沸騰していると考えられ、海水の塩濃度の4分の1のものや、海水の濃度の1.5倍のものが見つかりました。前者は蒸気の再凝縮したもの、後者は濃厚塩水が噴出しているものと思われます。低温熱水はチオ硫酸を含んでおり、硫黄を酸化することによって独立栄養バクテリアがエネルギーを得ているものと考えられます。またそれによりこの地点の非常に濃集した生物群集が支えられているばかりでなく、プルーム中に見られた高いバクテリア濃度の原因となっています、これらの結果を総合することにより、地球内部からの熱や物質の放出量が定量的に計算できるようになりました。たとえば、南部東太平洋海膨における海嶺の単位長さ当たり
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